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AIエージェントによるコーディングは「料理」に似ている ─ Claude Codeの使い方を、台所の感覚で掴む

AIエージェントにコードを書かせる体験は、自分で一行一行コードを書いていた頃とはまったく違う。指示を出し、様子を見て、方向修正する。その感覚は、プログラミングよりもむしろ料理に近い。

この記事では、普段の料理の感覚を手がかりに、Claude Codeを使ったAIエージェントコーディングの実践的なコツを解説していく。


まず、なぜ「料理」なのか

AIエージェントによるコーディングと料理には、驚くほど多くの共通点がある。

人間が方向性を決め、実行は委ねる。 料理をするとき、「今日は何を作るか」を決めるのは自分だ。でも、実際に手を動かすパートは得意な人に任せたほうがうまくいくことも多い。AIエージェントとの開発もまさにこの関係で、方向性を示して、実装の手は委ねる。

マルチタスクが命。 たとえばカレーを作るとき。玉ねぎを炒めながらスパイスを計量し、ご飯の炊き上がり時間を逆算する。Claude Codeでの開発も同じで、コード生成を待ちながら次のタスクの設計を考え、出力をレビューし、テストの方針を練る。

完成形のイメージがあるほど、結果が良くなる。 「なんかカレーっぽいもの」と「バターチキンカレー、ご飯に合う濃厚な感じで」では仕上がりがまったく違う。コーディングでも同じことが言える。


料理の感覚で掴む、Claude Codeの使い方6つ

1. 献立を決めてから台所に立て ─ 最初の指示が9割

料理は、何を作るか決めるところから始まる。和食なのか洋食なのか、メインは肉か魚か。ここが曖昧だと、冷蔵庫の前で途方に暮れることになる。

Claude Codeも同じだ。最初のプロンプト(指示)の具体性が、アウトプットの質をほぼ決定する。

❌ 悪い指示(「なんか作って」)
「APIを作って」

✅ 良い指示(「今夜はこれ」が明確)
「Express.jsでユーザー認証APIを作って。
 - POST /auth/login でJWTトークンを返す
 - POST /auth/register でユーザー登録
 - バリデーションはzodを使用
 - パスワードはbcryptでハッシュ化
 - エラーレスポンスは統一フォーマットで」

ポイントは、材料と手順を明確にすること。使うフレームワーク、実装したい機能、守ってほしいルール。料理でいう「鶏もも肉300g、トマト缶1つ、スパイスはこれとこれ」と同じ感覚だ。

2. 味見しながら作れ ─ 小さく進めて確認する

料理のうまい人は、工程ごとに味見をする。炒め具合を確認し、調味料を入れたら味を見て、煮込みの途中で塩加減をチェックする。全部できてから「なんか違う」と気づいても遅い。

Claude Codeでも、一気に全機能を作らせるのではなく、小さな単位で生成→確認を繰り返すのが鉄則だ。

ステップ1: 「まずデータベースのスキーマだけ作って」 → 確認
ステップ2: 「次にユーザー登録のエンドポイントを実装して」 → 動作確認
ステップ3: 「ログイン機能を追加して」 → テスト
ステップ4: 「エラーハンドリングを整えて」 → 最終確認

一度に「フルコース全部作って」と頼むと、どこで味がズレたのか分からなくなる。一品ずつ仕上げる感覚でいこう。

3. 「もうちょい塩足して」が言えるようになれ ─ フィードバックの技術

味見して「なんか物足りない」とき、「もっと美味しくして」では何も伝わらない。「塩をひとつまみ」「酸味がほしいからレモン少し」と具体的に言えるかどうかが腕の見せ所だ。

Claude Codeへのフィードバックも同じ。

❌ 曖昧なフィードバック
「なんかイマイチだからもっと良くして」

✅ 具体的なフィードバック
「エラーハンドリングで、404と500を区別できるようにして。
 あと、レスポンスにrequest_idを含めてトレース可能にしたい」

「何が」「どう」違うのかを伝える。料理でもコーディングでも、的確なフィードバックが最高の調味料だ。

4. 火加減を見ろ ─ 放置しすぎず、かき混ぜすぎず

煮込み料理は、放置しすぎると焦げるし、かき混ぜすぎると具が崩れる。ちょうどいい距離感がある。

Claude Codeでも、「全部任せて放置」と「一行ごとに口出し」の間にスイートスポットがある。

料理 Claude Code 結果
鍋のフタを開けっぱなしにする 生成途中で何度も中断する 進捗が遅くなる
完全放置で焦がす 大量のコードを確認なしで受け入れる 後で大きな手戻り
ときどき様子を見る 適度な粒度でレビューする ちょうどいい

機能単位やファイル単位でレビューするのがちょうどいい。「1関数ごとに止める」のは細かすぎるし、「全部終わるまで見ない」のは粗すぎる。

5. 煮込み中にサラダを準備しろ ─ マルチタスクの実践

料理の上級者は、煮込み時間を遊ばせない。メインを煮ている間にサラダを準備し、食器を並べ、次の段取りを頭の中で組み立てている。

Claude Codeでも、AIがコードを生成している間の「待ち時間」は宝だ。

AIが作業中にあなたができること:

  • 次のタスクの要件を整理する
  • 生成済みのコードをレビューする
  • ドキュメントやREADMEを書く
  • テストケースを考える
  • アーキテクチャの次のステップを設計する

さらに、複数のClaude Codeセッションを同時に走らせることもできる。フロントエンドのコンポーネントをセッションAで作りながら、バックエンドのAPIをセッションBで進める。メインの鍋を見ながら副菜も同時に仕上げていく、あの感覚だ。

6. 失敗しても作り直せる ─ やり直しのコストが低い

料理で「調味料を入れすぎた」と気づいたとき、元に戻すのは難しい。でもコーディングでは話が違う。

AIエージェントによるコーディングの最大の強みは、やり直しのコストが圧倒的に低いこと。Gitを使っていれば、いつでも前の状態に戻せる。

# うまくいかなかったら
git stash   # 一旦退避して
# 別のアプローチで再挑戦

# 完全にやり直したければ
git checkout .   # まっさらに戻す

料理なら鍋の中身を丸ごと捨てるのは心理的につらい。でもコードなら、コマンドひとつで「さっきのなし」にできる。この気軽さを活かして、恐れずに試行錯誤することが、AI時代の開発では一番大事な姿勢かもしれない。


料理とAIコーディング対照表

料理 Claude Codeでの開発
献立を決める 最初のプロンプトを練る
材料を揃える 依存関係・環境を整える
下ごしらえ CLAUDE.mdやコンテキスト設定
工程ごとの味見 段階的なレビューとテスト
「塩足して」の微調整 具体的なフィードバック
煮込み中の並行作業 生成中の設計・レビュー作業
盛り付け コードの整形・ドキュメント化

まとめ

AIエージェントにコードを書かせるのは、新しい体験だ。最初は「どう指示を出せばいいのか」「どこまで任せていいのか」と戸惑うことも多いと思う。

そんなときは、自分がいつもやっている料理のことをちょっと思い出してみてほしい。献立を考えるときの頭の使い方、味見のタイミング、「もうちょい醤油」と調整するあの感覚。AIエージェントとの付き合い方のヒントが、案外キッチンに転がっているかもしれない。